石巻雄勝の郷土芸能・習慣

雄勝町には室町時代から伝わっている「雄勝法印神楽 (国指定重要無形民俗文化財)」
「獅子舞, 獅子振り」があり、町内の神社の行事で奉納、披露され続けています。
また、名振地区には毎年1月24日に行われる奇祭「おめつき(宮城県指定無形民俗文化財)」があります。

平成に入り新たに伊達の黒船、「サン・ファン・バウティスタ号」の建造と軌跡をテーマに作られた創作和太鼓、「伊達の黒船太鼓」が作られ、ますます郷土芸能が盛んになった、石巻市雄勝町です。

東日本大震災で甚大な被害を受けましたが、全国のみなさんからの支援、応援を受けて活動を再開しています。




雄勝法印神楽
(国指定重要無形民俗文化財)

雄勝法印神楽 | 獅子舞, 獅子振り伊達の黒船太鼓 | 名振のおめつき

宮城県石巻市雄勝町の法印神楽は約600年、伝承され続け、平成8年に国指定重要無形民俗文化財になっています。法印神楽の「法印」とは「修験者」の事で、古くは山伏神楽、大乗神楽と呼ばれ、修験者山伏が一子相伝、口伝で伝承されてきました。
修験には「羽黒派 (出羽三山)」「本山派 (熊野三山)」「当山派 (金峰山)」に分類され、雄勝法印神楽は羽黒派に属していると言われています。
羽黒派は楽隊が太鼓二人、笛一人で舞は勇壮かつ豪快なのが特徴です。
太鼓は宮太鼓を使用し打面が一尺五寸のもの、笛は篠笛四本調子、六穴を使用します。

かつては三十三演目あったと伝えられていますが、
現在は獅子を含め二十八演目あり、伝承されているのが二十五演目になります。

雄勝法印神楽保存会」によって伝承・保存されています。




関連リンク
石峰山 石神社・葉山神社
法印神楽な奴




獅子舞, 獅子振り

雄勝法印神楽 | 獅子舞, 獅子振り伊達の黒船太鼓 | 名振のおめつき

「雄勝法印神楽」の二十八番目の演目「獅子」は、
明治時代以降、春祈祷(獅子舞、獅子振り)の正月の祭典として分離しています。

法印神楽保存会ではなく、各地区に伝承されています。
地区ごとに特色が強く、使用する篠笛の調子、太鼓の拍子なども地区によって様々です。
正月2日〜6日の間雄勝町内で春祈祷祭として獅子舞が行われ、地区によっては神社の例大祭の際に法印神楽奉納後に地区住民により行われます。

獅子頭は殆どが「権現頭」ですが、大浜には「テレボク」という獅子頭があります。
(詳しくは「大浜青年部八日会」の記事にて。)

雄勝町内の獅子舞 (括弧内は地区の演舞/保存団体)

・水浜  ・船戸  ・上雄勝 
・味噌作 (雄勝町胴ばやし獅子舞味噌作愛好連)    
・下雄勝 ・伊勢畑 (下雄勝・伊勢畑有志) 
・明神  ・大浜 (大浜青年部八日会)  ・立浜  ・羽坂, 桑浜 
・熊沢  ・大須  ・荒   ・船越  ・名振




関連リンク
石峰山 石神社・葉山神社




伊達の黒船太鼓

雄勝法印神楽 | 獅子舞, 獅子振り伊達の黒船太鼓 | 名振のおめつき


平成3年(1991年)5月、宮城県桃生郡雄勝町(平成17年石巻市に広域合併)の町制50周年記念事業のひとつとして作られた創作和太鼓。

曲名になっている「伊達の黒船」とは、約400年前に現在の
石巻市月浦港から出帆し、世界との外交を目指した慶長遣欧使節船
「サン・ファン・バウティスタ号」のこと。
現在の石巻市雄勝町呉壷で建造された説から、その名が付けられました。

主な楽曲は「伊達の黒船」「図南の響」「祝賀の舞」の三曲で構成されている
『組曲:雄勝町伊達の黒船太鼓』
また、ピアノと和太鼓の現代音楽曲「ペルム幻想」、2013年第一回おがつ秋の芸祭鼓舞で
初演披露した雄勝石も楽器として利用した楽曲「ひふみ」などある。

主に「雄勝町伊達の黒船太鼓保存会」により演奏、指導、伝承されています。

関連リンク
雄勝町伊達の黒船太鼓保存会 公式サイト





奇祭:名振のおめつき
(宮城県指定無形民俗文化財)

雄勝法印神楽 | 獅子舞, 獅子振り伊達の黒船太鼓 | 名振のおめつき


天明初年頃、集落で大火があり、
同年三年(1783年)に火伏せの神である、静岡県の秋葉の神を勧請(かんじょう)して、
その碑を集落の東西両端に建立し村内安全を祈願した。祭礼はそれに起源する火伏せの祭であるという。

祭礼で演じられる芸能の「おめつき」は、「思い付き」であり「俄(にわか)狂言」のことで例祭の名称もこれによる。

祭りは、東・中・西・小浜の四組に別れた契約講(けいやくこう)が、毎年1月24日に輪番で
担当する「亭前」により行われる。当日は丁印を先頭に、後に続く山車の「舞台」の笛、
太鼓で道中囃子を奏でながら、東の秋葉社の碑に向かう。碑の前で神事を行い「里中安全」の神符が集落の三ヶ所の入口に立てられる。

丁印と舞台は東端を出発し、獅子舞を従えて集落内を巡行する。巡行に従って、四組の定められた旧家の庭先で「おめつき」が演じられる。

それぞれの演技組は仮装をこらし、内容には一応の形式があり、用意された
小道具が示され、見物衆との即興的な掛け合いがあり、謎解きがされて「落ち」となる。
内容は漁況や政治といった時事問題が主題とされるが、筋立てや狂言回し、それに、小道具には男根、女陰があるなど性的に誇張されており、また、それを取り入れていることが
定めにされている。

巡行の途中で舞台は担ぎ手により激しくもまれ、一部は故意に破壊されてしまい、
翌年の亭前へ祭具の引き継ぎがされるが、破壊箇所の吟味で口論におよぶやり取りがあり、総代が仲裁に入り手打ちとなる。

本祭礼は年の初めに、集落内の安全を祈願する祭祀に山車として舞台が巡行することと、
芸能の即興劇が組み込まれているのが特徴である。おめつきの性的な要素は、正業である漁業の豊漁を祈願する予祝儀礼である。しかも、即興芸能で演じられているのは、
全国的に例が少なく、特殊な祭祀として貴重である。

宮城県指定無形民俗文化財 平成6年 11月 29日 指定

種別 風俗慣習民俗芸能
名称 名振のおめつき

名振秋葉神社氏子会平成7年6月吉日建立
雄勝町教育委員会
雄勝町文化財保護委員会

(名振地区 看板より引用)


追記:
震災後は人口減少の為、山車の担ぎ手も地区外遠方よりも協力をいただき、「おめつき」は東と西の中間の一か所にておこなわれています。




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